福井商業高校
春を支える 福井商の「裏方さん」
1 上出つや子さん /福井

◇上出つや子さん(70)

自宅が遠くにある福井商の野球部員は、学校のすぐ近くの寮で下宿生活を送る。そこを切り盛りして母親の代わりをする寮母さんだ。

「みんな、かわいくてたまらない」と思う半面、「こんなかわいい子どもたちを下宿させ、親ごさんはどれだけ心配しているかと思うと心が痛みます」とも。

 それだけに、部員が高校生活を元気に楽しく過ごせるよう気を使う。

朝夕の食事を用意するだけでなく、帰宅した選手には風邪をひかないよう、紅茶でうがいをさせ、クリスマスや誕生日にはパーティーを開き、試合前にはユニホームにゼッケンもつけ、時には悩みも聞く。合宿に行く選手のため、夜中の3時に起きて弁当を作ったこともある。

 めいの夫である北野尚文監督の指示で、朝食には必ず納豆をつける。クセがあるので、ねぎ、シラス、大根を入れ食べやすくする。

また、カレーには野菜を細かく切って、たくさん食べられるようにするなど、健康管理には細心の注意を払っている。

 昨夏、甲子園で活躍した吉田侑嗣投手(今春卒業→JR東海)は滋賀県出身だった。周りが福井県出身者ばかりなので、さみしくて帰ってしまうのではないかと不安だったと言う。

日々、朝ごはんを食べたあとを見ては、「今日も大丈夫だった、と胸をなでおろしました」と涙を見せながら話す。

 短期間のつもりで引き受けたが、いつのまにか8年目に。休みは日曜と年末年始の3日間だけ。ハードな仕事だが、選手の元気な声を聞くと疲れも吹っ飛ぶ、と言う。

 福井商が甲子園に出場するときは、必ず応援に行くが、スタンドでは周りが見えなくなるくらい緊張するという。「ケガに気をつけて、福商らしい元気なプレーをしてほしい」というのが何よりの願いだ。

   ◇  ◇

 3月25日開幕するセンバツで甲子園の晴れ舞台に立つ福井商。

その「裏方さん」として選手を支えている人たちを紹介する。 【阪本麻記子】 

(毎日新聞2001年2月22日朝刊)

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